夫婦で手がけた温もりのある店「ちいさなお皿のビストロ tena tena(ティナ ティナ)」
春日部市には、新たな地域産業と雇用創出による地域活性化を図るため、市が指定する区域内の空き店舗を利用して創業を行う人、創業して5年未満の人に対し、創業の際にかかる費用の一部を補助する「かすかベンチャー応援補助金」という制度があります。
令和5年10月、市立粕壁小学校近くの学校どおり沿いに開業した洋風居酒屋『ちいさなお皿のビストロ tena tena(ティナ ティナ)』もこの制度を活用しました。店舗面積は約10坪。カウンター席5席、テーブル席8席という、小さくてアットホームな雰囲気のお店を営むのは、店主の室町 拓磨さん(以下、ワシさん)と妻の杏奈さん(以下、アンナさん)。同店を訪ね、お二人に開業までのストーリーや今後の展望などを伺いました。
春日部の「かすかベンチャー応援補助金」制度を活用して開業
オーナーのワシさんは、高校生の時に飲食チェーン店でアルバイトを経験。その後、焼き鳥店やバルで調理など20年以上にわたり飲食業に携わってきました。豊富な知識と経験を活かし「自分の思い描く店を作りたい」と独立を決意したのは約3年前。
事務の経験しかなかったアンナさんも「やるなら今が最後のチャンスかもしれない」と、迷いなくその夢に賛同したそうです。お二人が春日部で出店することを選んだ理由は何が決め手だったのでしょうか?
ワシ「二人とも出身は越谷なのですが、私が春日部で働いていたこともあり、人の流れや食のトレンドを熟知していたというのが一番の理由です。駅近の物件は賃料が高いというのもありますが、ターゲット的にも落ち着いた住宅エリアを探していました。最初に候補に上がった物件とはご縁がありませんでしたが、近隣の飲食店さんとのつながりでこの物件が空くことを教えていただき、理想的な物件と巡り合えたのです」
アンナ「元は和風の居酒屋だったそうですが、キレイに使われていたので内装はすべて自分たちで手がけました」
春日部市の「かすかベンチャー応援補助金」を活用し、試算通りの資金で開業、起業ができたことも大きな助けになったと言います。
ワシ「商工会議所に開業の相談に行ったところ、この制度が使えることを知りました。担当の方に『事業計画を手直ししたら出せると思うので、気軽に来てください』と言われたので、本当に気兼ねなく、何度も足を運び、アドバイスをしていただきました(笑)」
カウンター席があるので、おひとり様での利用も気兼ねなくできる

お二人が手がけた内装は、可愛らしく温もりのある雰囲気
“ちいさなお皿でちょっとずつ”というコンセプトが女性の心を掴んだ
同店のコンセプトは「ちいさなお皿でいろいろなものをちょっとずつ食べられる洋風居酒屋」。店名の「tena tena(ティナ ティナ)」は、家族4人のイニシャルをつなげて命名。お客様は、美味しい料理とご夫婦の人柄に惹かれた、徒歩圏内にお住いの30〜50代の女性が中心で、Instagramを見て遠方から訪れる人も少なくないそうです。
ランチタイムの看板メニューは、少量の総菜が複数付く『プレートランチ』、ディナータイムは、お酒のおつまみになる『おまかせデリの盛り合わせ』。
ワシ「手間暇をかけてつくった惣菜を少しずつ、たくさん味わっていただきたいというのがコンセプトです。夜はそれをつまみながらワインやカクテル、ウィスキーなどのお酒を楽しんでほしい。春日部には多くの飲食店がありますが、同じコンセプトのお店は他にないと思います」
集客はSNSが得意なアンナさんが担当しています。
アンナ「独立を考えた時から、オープンに至るまでInstagramでリアルタイムに公開し、私たちの夢に参加していただけるような仕掛けを作りました。メニューは二人で女性が好むものを考案しましたが、時にはフォロワーさんの意見を聞くことも。その時から応援してくれていた方が、今でも来ていただけているのでありがたいです。女性が一人飲みできるお店にしたかったので、おひとり様もいらっしゃいますし、お仲間と親戚や友達の家で集まっているような感覚で、ゆったり、のんびり食事やお酒を楽しんでもらえたら嬉しいです。私たち自身もこどもたちを連れて外食することが多いので、子連れでも過ごしやすいように心がけています」

ランチメニュー「プレートランチ」

ディナーメニュー「おまかせデリの盛り合わせ」
近隣店舗とのつながりが心強い。一緒に春日部を盛り上げていけたら
近隣店舗との交流も盛んで、互いに励みになっていることも春日部の良さだと語る、ワシさん。
ワシ「この物件をつないでくれた『肉とごはんと時々やさい mohawk(モホーク)』さんをはじめ、近隣のお店の方々と仲良くなりました。オープンが近かったり、苦戦しているところが同じだったりするので、悩みを相談したり、情報交換をしたり、とても心強い存在です」
アンナ「同じ飲食業であってもコンセプトが違うので、競合という感覚はありません。例えば、当店の閉店時間に『まだ飲み足りない』というお客様に営業時間の長いBARをご紹介することもあります。地域の方々に、それぞれのお店で、外食の楽しみ、お酒の楽しみを知っていただき、その回数を増やしていただけたら、春日部をともに盛り上げていくことができると思います」
春日部は、子育てがしやすく、暮らしやすい“ちょうどいい街”
春日部に移住して8年。この街の住み心地や将来性についてお二人は次のように話します。
ワシ「高校生の頃、僕たちにとって春日部は都会でした(笑)。若い頃は都内に出ることも楽しかったのですが、今は人の多さに疲れてしまうこともあります。春日部は、交通利便性もいいですし、買い物も市内で何でも揃います。困ることが何もないので、暮らすのに“ちょうどいい街”だと思います」
小学校と保育園に通うお子さんを持つ、親の立場から“子育てのしやすさ”も感じています。
ワシ「小学校の雰囲気がとてもいいです。保護者が主体的に行事イベントのお手伝いをしているのでパパ友もできました。話してみるとお店をやっている方もいたりして、こどもがいなければ繋がれなかったご縁もあります」
アンナ「お客さんも含め、たくさんの方に助けていただきながら子育てをしています。こどもたちも、たくさんの大人に見守られながら、のびのびと育っているので、世界観が小さくなることはなさそうですね」
今後の夢や展望。開業や起業を考えている人に向けたメッセージ
最後に、今後の夢や展望と、春日部で開業や起業を考えている人にメッセージをお願いしました。
ワシ「夫婦で一緒にいる時間が長いので、大変さも楽しさも両方ありますが、このお店を長く愛していただけるよう頑張っていきたいと思います。また、最近は私たちがしていただいたように、誰かの夢を応援したいという気持ちが出てきました。この店自体がまだ若いこともあると思いますが、たまにカップルやご夫婦でいらしたお客様が『このぐらいのサイズのお店をやりたいんです』と価格設定など質問をしていただくことがあります。話を聞いたからには成功してほしいので、私たちにできることがあれば協力させていただきたいと思っています」
成功の秘訣は、自分たちでアクションを起こし、想いを口に出すこと
ワシ「春日部のいろいろなご飯屋さんを巡って『こういうお店をやりたい』と話してみてください。自分の想いを伝えることで思わぬ助け船を得られることもあります。飲食業に限らず、お客さんの中にリノベーションをやっている方がいたり、アパレルの方がいたり、思わぬつながりができ、世界が広がります。この街には心優しい人が多いので、心温かく迎えてくれると思います」
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更新日:2025年03月07日